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SVCT1欠損は腎臓でのビタミンC再吸収を低下

体内のビタミンC量は小腸からの吸収、血中から組織への移行、腎臓からの排出や再吸収により制御されています。また、ビタミンCはナトリウム依存性ビタミンC輸送体SVCT1およびSVCT2により細胞内に取り込まれます。

今までにSVCT2遺伝子の欠損は呼吸不全と頭頂部での出血により出生後数分で死に至ることが分かっていました1),2)。しかし、SVCT1遺伝子の欠損が生存に及ぼす影響についての報告は、最近までありませんでした。2010年にCorpeらはSVCT1遺伝子破壊マウスを開発し、SVCT1遺伝子の欠損が生存に及ぼす影響およびSVCT1の生理的意義について明らかにしました3)

マウスでは腎臓、肝臓、小腸、肺、皮膚にSVCT1の発現が認められます4)。SVCT1遺伝子破壊マウスは、自ら体内でビタミンCを合成できるため、ビタミンC欠乏食により壊血病を発症することはありません。しかし、SVCT1遺伝子破壊マウスの雌では血中ビタミンC濃度が野生型マウスの約3分の1、雄では約半分と低値でした。にもかかわらず、尿中のビタミンC濃度は雌雄ともに野生型マウスよりも約3倍も高値でした。

CorpeらはSVCT1遺伝子破壊マウスの尿からビタミンCが多量に排出しているにもかかわらず、壊血病に陥ることなく、正常に生育できる理由としてビタミンCの体内合成量が亢進している可能性を考えました。そのため、ビタミンC合成経路の途中に位置するグルクロン酸の尿中排泄量を調べました。その結果、SVCT1遺伝子破壊マウスでは野生型マウスに比べて約2倍もグルクロン酸の排泄量が多かったのです。しかし、今までにクローニングされているビタミンC合成経路に関与する4つの酵素(UDP-glucose pyrophosphorylase, UDP-glucose dehydrogenase, L-Gulono-1,4-lactone hydrolase (SMP30), L-Gulono-1,4-lactone oxidase)遺伝子の発現量に野生型マウスとSVCT1遺伝子破壊マウスの間で有意な差は認められませんでした()。このことから、ビタミンC合成系の亢進は、未だ同定されていない酵素(UDP-glucuronate pyrophosphorylase, Glucuronate-1-P phosphatase, Glucuronate reductase)遺伝子の発現量が亢進している可能性が考えられます。

今回の研究からCorpeらはSVCT1遺伝子破壊マウスを用いて、SVCT1が腎臓でのビタミンCの再吸収に大きく関与していることを突き止めました。また、SVCT1遺伝子の欠損は体内ビタミンCレベルの低下を招く可能性が示唆されました。

文 献

  1. Sotiriou S, Gispert S, Cheng J, Wang Y, Chen A, Hoogstraten-Miller S, Miller GF, Kwon O, Levine M, Guttentag SH, Nussbaum RL (2002) Ascorbic-acid transporter Slc23a1 is essential for vitamin C transport into the brain and for perinatal survival. Nat Med 8, 514-517
  2. 堀尾文彦, 河合香里 (2003) アスコルビン酸トランスポーターSlc23al(SVCT2) ノックアウトマウスから得られるこのトランスポーターの意義とアスコルビン酸の新たな生理機能. ビタミン 77, 101-102
  3. Corpe CP, Tu H, Eck P, Wang J, Faulhaber-Walter R, Schnermann J, Margolis S, Padayatty S, Sun H, Wang Y, Nussbaum RL, Espey MG, Levine M (2010) Vitamin C transporter Slc23a1 links renal reabsorption, vitamin C tissue accumulation, and perinatal survival in mice. J Clin Invest 120, 1069-1083
  4. Takanaga H, Mackenzie B, Hediger MA (2004) Sodium-dependent ascorbic acid transporter family SLC23. Pflugers Arch 447, 677-682

 

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図 ビタミンC合成経路に関与する酵素群

図3

D-Glucose-1-Pからascorbate(ビタミンC)が生合成されるまでに関与する酵素群を示しました。四角で囲った4つの酵素(UDP-glucose pyrophosphorylase, UDP-glucose dehydrogenase, L-Gulono-1,4-lactone hydrolase (SMP30), L-Gulono-1,4-lactone oxidase)遺伝子の発現量にSVCT1遺伝子破壊マウスと野生型マウスで差は認められませんでした。他の酵素(UDP-glucuronate pyrophosphorylase, Glucuronate-1-P phosphatase, Glucuronate reductase)遺伝子は未同定です。

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